実務家にもうれしい消費税の基本書「スタンダード消費税法」
消費税法の基本書的な存在で、出来れば読みやすくとっつきやすそうなものはないかと思っていたのですが、そんな悩みを解決してくれる書籍のご紹介です。
プレップ租税法やスタンダード所得税法でお馴染みの佐藤英明先生が書かれているというのもうれしいところです。
インボイス制度の導入も控えていますので、この時期に読む書籍としてもお勧めになりそうです。
歴史的な背景や他国の事例、立法趣旨にまで踏み込んで書いてくれているのはうれしいところです。消費税を学習される方だけでなく実務家の方にもお勧めです。
スタンダード消費税法(佐藤英明・西山由美)
こちらの書籍は、消費税を学ぶ際に初めに読んで欲しいという位置づけで執筆されたとのことで、非常に読みやすく、とっつきやすい内容になっています。
それもそのはず、プレップ租税法やスタンダード所得税でお馴染みの佐藤英明先生が執筆者に名を連ねておられるのです。
個人的に気になったところや感想
とりあえず、ざっと読んでみましたが、気になった点を以下に記したいと思います。
歴史的背景や立法趣旨に踏み込んでいる
条文の内容を説明するだけにとどまらず、歴史的な背景であったり、他国の事例、立法趣旨にかなり踏み込んでくれており、この部分だけも大きな価値を感じます。
税理士試験の理論暗記の記事でも書かせて頂きましたが、条文の内容を理解するだけでは弱く、背景や趣旨まで踏み込んで理解すると、暗記の定着も強くなります。
一方で、実務家においては、趣旨や背景を頭に入れておくことで、顧問先からの質問に答えるときの幅が広がりますし、日々出くわす事例に対する正しい判断にもつながるのではないかと思います。
読みやすく事例が豊富
何度も書きますが、この書籍は非常に読みやすいです。
それは、書籍が簡単な内容だというわけではなく、頭に入りやすいということだと思います。
また、事例が多く用いられていることもうれしいところです。
ただ、事例の登場人物をA、B、Cという感じで表現されておりますが、登場人物が多くなると紙にメモしたり図におとしたりしないと頭に入りにくいという感じはありました。あくまで私の場合はですが。
その他雑感
Twitterなどを見ているとグローバル企業の消費税還付に関して、誤った見解が述べられていることを目にします。
そういった見解に対して自分自身であればどうやって説明するかということを頭の中で考えた時に、若干ふわっとした部分はあったのですが、書籍を読む中で色々と解消された気がしました。
あと、リバースチャージ方式の導入なんかも今回で非常にスッキリした一方で、今まで制度趣旨や背景を理解できていなかったんだなと反省する部分もありました。
最後に、居住用賃貸建物の改正に関するところはあまり深くは触れられておりませんでしたが、例の2つの裁判が節税スキームの項目として紹介されていたところは少し違和感があったような。それは個人的な理解に誤りがあるかもしれませんが。
まとめ
色々と書かせて頂きましたが、消費税法の歴史的背景や他国の事例、立法趣旨に踏み込んでしっかりと書いていただいていますので、その点だけをとっても読む価値ありという感想です。
まだ先月に発売されたばかりの書籍ですので、是非、手に取ってみてはいかがでしょうか。
スタンダード所得税法、法人税法、消費税法ときたら、相続税法をぜひとも期待したいです!これは強く、強く出版社にお願いしたいところですね!