別の税理士事務所への転職を考えるターニングポイント
税理士事務所から別の税理士事務所への転職は別に珍しいことでもありません。
お堅い業種であれば、まだまだ新卒至上主義の名残が残っているように感じることもありますが、税理士業界では全くそんなことは感じません。
自分自身の今後のキャリアを考えてみて、転職に踏み出すという選択肢もありだと思います。
今日は、転職を考えるターニングポイントとなるときを考えてみました。
同業者と話をする機会もありますが、皆さん本当に向上心が高く、常に自分自身の成長というところに重点を置いているのだと感じさせられます。
自分のキャリアの理想像をイメージしてみる
まずは、税理士としてのキャリアの理想像をイメージしてみるのはいかがでしょうか。
- 大手の税理士法人で専門的な仕事を積みその道のプロを目指す
- 数十人規模以上の税理士法人や税理士事務所の幹部を目指す
- 特化型の税理士事務所で興味のある業務に特化した仕事に携わる
- 税理士業界ではなく一般事業会社の経理部門に携わる
- ベンチャー企業のCFO的な位置づけを目指す
- 独立開業を目指す
- などなど
と、様々なキャリアが考えられますので、今すぐに将来の理想像を固定化する必要もないと思いますし、後から考えが変わってもそれはそれでしょうがないところ。
とはいえ、ざっくりとでもイメージを絞っておかないと、これから進むべき道も定まらず、気が付けばドンドンと時間だけが経過してしまったという結果になりかねません。
将来的なイメージを持ちつつ、日々の業務に携わることで、転職のターニングポイントを逃さずに行動に移せるのではないかと感じます。
ターニングポイントとなるとき
人それぞれだろうとは思うのですが、自分だったとどうかと考えてみました。
新しい業務にチャレンジしたいとき
まずは、ステップアップとして、新しい業務にチャレンジしてみたいと感じたときでしょうか。
- 資産税
- 組織再編
- 事業承継
- 事業再生
- などなど
大手の税理士法人なんかであれば、幅広く業務を行っていたりしますので、わざわざ転職をしなくても別の部門への異動願を出すという選択肢もあるでしょう。
ただ、簡単に希望が通るとも限りませんし、また、大手の税理士法人などでなければ、そもそも、自分が挑戦したい業務を行っていないということも。
この場合、転職も一つの選択肢として検討することになるのではないでしょうか。
担当したことがない顧客層の経験を積みたいとき
例えば、法人の顧問業務に引き続き携わる場合であっても、自分自身が担当したことのない顧客層を担当し、仕事の幅を広げたいと感じることもあるでしょう。
- 上場企業及びその関連会社
- 資産家のオーナーの資産税とリンクする法人
- 海外拠点のある法人
- 公益法人
- 特殊な業種の法人
- などなど
例えば、そこそこの規模の事務所であっても、上場企業であったり、又は、社会福祉法人・NPO法人などの公益系はそうそうあるものではありません。
上記の新しい業務にチャレンジしてみたいときと同様に、自分自身の幅を広げたいという前向きな理由で転職を考えることもあるでしょう。
他の税理士事務所を経験してみたいとき
同じような業務を行っている税理士事務所ならどこでも同じようなものだろうと思われがちですが、実は全くそうではありません。
今までスタンダードだと思っていたことでも、別の事務所では全くやり方が違ったというはなしもよく聞こえてきます。
今は、SNSなどで情報発信も盛んになっていますので、新しい取組みを実践していたりする事務所がみえてくることもあるでしょう。
また、私のように一度は外資系の税理士法人を経験してみたいと感じることもあるでしょう。
他にも、独立を目指すケースでは、特化型や外資系の税理士法人などでは参考になることも多いとは言えませんので、一般的な事務所で経験を積みたいと考えることもあるかもしれません。
税理士試験の勉強を最優先にしたいと考えるとき
現在の環境では残業が多くて、税理士試験の勉強に時間を使えないということもあるでしょう。
税理士業界でのキャリアが長くなると、様々な経験と共に仕事の幅も広がりますので、担当や責任も増え、どんどん忙しくなるはずです。
それはそれで、成長の証でもありうれしいところでもあるのですが、税理士試験の勉強と両立することは難しくなります。
この場合は、年収は下がるかもしれませんが、まずは現在の事務所と話し合いをしてみて、残業がない契約形態への変更をお願いするのもありかもしれません。
それが難しい場合は受験勉強を優先できるような事務所を探すという選択もあるでしょう。
もっと稼ぎたいと感じるとき
業界未経験の場合、仕事を教えてもらうことからスタートしますので、当然に年収は期待できません。
私自身も税理士業界に転職した初年度は、金融機関での新卒の年収よりも大きく下がりました。
しかし、経験を積み、資格も取得し、業務の幅が広がると、事務所への貢献度も高まるはず。
担当先が増え、部下のマネージメントも行い、資格者として営業やセミナー、執筆までこなしていくとなると、ある程度の昇給を願う気持ちも分からなくありません。
私自身は、もっと稼ぎたいという想いもありましたが、それ以上に自分自身の経験や能力から見た価値ってどの位あるのだろうかと感じ、エージェントに登録して客観的な意見をもらいに行った時期もありました。
どうしても今の環境が自分に合わないとき
前向きな理由ではなく、今の事務所の環境が自分には合わないということもあるでしょう。
もちろん、今の環境で頑張ることも大切ですが、我慢をしすぎると心身の体調を崩すことにもつながりかねません。
もちろん、努力をすることも大切ですが、どうしても難しいと感じる場合は、早めに転職を検討しても良いのではないでしょうか。
強引な転職は避けたほうが良い
事務所側からすると、採用にはコストがかかりますし、もちろん、戦力になってもらうまでの育成にもコストがかかります。
ある程度は先行投資をしてもらっている部分もあるでしょう。
そして何より、所長の立場になると、職員に辞められるのは辛いことです。
このため、もし転職を考える場合でも、強引な退職は避け、辞める時期や引継ぎなどについて、ゆっくりと話し合い、円満に退職が出来るようにしたいものです。
税理士業界は狭いものですので、自分自身にとっても円満に退職するというのは非常に大切なことなんだと思います。
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まとめ
既に税理士であったり、又は、税理士を目指す方は本当に向上心の高い方が多いと感じます。
このため、もっと新しいことにチャレンジして自分自身の幅を広げたいと感じることもあるのではないでしょうか。
もちろん、税理士試験の勉強を最優先したいということや、現在の環境が合わないということも。
こういった場合にも、転職というのは一つの選択肢になるのではないかと思います。
税理士業界は定期的な繁忙期もあり、常に人手不足の業界ですので、退職をする場合もすぐに辞められなかったりすることも多いと聞きます。確かに、辞める側にも言い分はあるのだと思うのですが、自分自身のためにも喧嘩別れみたいな形だけは絶対に避けたいなと。個人的にはそのように感じています。